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史上最多、同一銀河で超新星7つを発見 [気になるニュース]

地球から2億5000万光年離れた場所にある銀河で、史上最多となる7つの超新星が同時に発見された。

 スウェーデンのオンサラにあるチャルマース工科大学の博士課程に在学し、今回の研究を率いたファビアン・バテジャ(Fabien Batejat)氏は、「我々が知る限り、これまで1つの銀河から同時に見つかった超新星の数は3つが最大だった。それもかなりの数ではあるが」と語っている。

「しかし今回は、Arp 220から発生する電波を17年にわたって観測した結果、(1つの銀河に)7つの超新星の存在を確認した」。

 この前例のない発見は、銀河の進化に関する研究にとって、またとない実験の場を提供する可能性がある。

 今回7つの超新星が見つかった銀河は、Arp 220という名で知られ、2つのより小規模な銀河が合体して誕生したと考えられている。加えて、この銀河は爆発的な勢いで星が形成されていることでも知られ、その様子は可視光線の波長でも容易に確認可能だ。

 しかし新しいデータによって、Arp 220では爆発による星の死(超新星)も大量生産されていることがわかった。これは宇宙空間におけるごく初期の銀河の挙動を探る手がかりとなるものだ。

◆世界中の望遠鏡のデータを集め、超新星群を発見

 バテジャ氏によれば、Arp 220内で見つかった7つの超新星は1光年以下の範囲に固まっており、地球からの距離が大きく離れているため、それぞれの超新星が発する電波が全天の中で占める角度は0.5ミリ秒角以下とのことだ。

「これがどれだけ小さいのかというと、1500キロ先から1本のわらを見るのに相当するサイズだ」とバテジャ氏は説明する。

「これほど小さな天体を確認するためには、直径1万キロの(電波)望遠鏡が必要になる。これは地球そのものの直径ともそう変わらない大きさだ。しかし、このような大きな望遠鏡を建造することはできないので、干渉計方式で仮想的に大型の望遠鏡を設ける」。

 天文学の世界における干渉計方式とは、1つの巨大な望遠鏡を用いる代わりに、多数の望遠鏡の観測能力を組み合わせて、宇宙の奥深くを探る高解像度映像を作成するというものだ。

 バテジャ氏の研究チームは、地球上の望遠鏡のうち、大きい方から上位57基のデータを用いた。これらの望遠鏡の設置箇所は、2つの大陸、5つの国にわたる。今回の研究プロジェクトでは、ヨーロッパVLBIネットワーク(EVN)、超長基線アレイ(VLBA)、グリーンバンク望遠鏡、アレシボ天文台などのデータが使用されている。

 Arp 220の中心部は塵で覆われており、可視光線の波長では中まで入り込めない。だが電波はこのような密度の濃い空間を貫くことができるため、地球上の望遠鏡でも検知できる。

◆超新星の“驚異的”な大量発見

 最終的に、Arp 220の中心部付近には40の電波発生源があることが、データから明らかになった。2つの異なる波長について発生源の変化を時系列で追ったところ、そのうち7つはほぼ同時期に爆発した星の名残であることが判明した。

 バテジャ氏によれば、太陽系のある天の川銀河の場合、超新星の起きる頻度は平均でわずか100年に1件だという。

 しかし活動が激しいArp 220では、星が頻繁に生成と消滅を繰り返しており、100億年以上前に若い銀河が見せていたと推測されるような挙動を示している。

「今回の成果が、初期の銀河で星が形成される(そして死に至る)過程について、興味深い発見につながることを期待している」とバテジャ氏は語った。

 さらに、このように発生して比較的間もない超新星は「あまり多くはなく、(超新星残骸になるまで)最大でも数十年と、寿命も短い」という。「ゆえにこうした超新星を同時に7つも見つけられたことは、驚くべき発見と言える」。

 今回の超新星発見に関する研究は、研究論文登録サイトの「arXiv.org」で公開されているほか、「Astrophysical Journal」誌にも掲載される予定だ。

Andrew Fazekas for National Geographic News


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